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2023.11.01

介護職における介護拒否とは?介護拒否に上手に対応するには?

介護拒否とは、認知症の進行により現れる症状で、介護者による介護行為を拒否してしまうことです。被介護者は、様々な要因から「介護拒否」をする場合があります。介護者にとっては、「介護の方法が悪いのかな」「介護拒否はどう対処すれば良いのだろう」という悩みを抱えるかもしれません。ここでは、介護拒否の原因を理解し、上手に対応する方法を具体的にご紹介します。

介護拒否には認知症の進行など様々な原因がある

介護拒否が起こる原因は様々ですが、その多くは認知症の進行が関与している場合が少なくありません。個人差もありますが、介護拒否の代表的な例を以下でご紹介します。

認知機能の低下

介護拒否の主な原因は、認知症の進行による認知機能の低下が一般的です。被介護者はなぜその介助が必要なのか理解できなくなり、理解できないことを求められることに対して嫌悪感を持ってしまうため、拒否の行動に繋がります。

恥じらいや羞恥心

入浴介助、トイレ介助、着替えの介助などでは、被介護者の体が他人に見られることに対する羞恥心や恥じらいが拒否の原因になることが少なくありません。認知症が進行していても、被介護者は羞恥心を持つ場合がありますので、その気持ちを理解し尊重することが重要です。

プライドや自尊心

被介護者も過去には自立した大人として生活してきました。現在は自分でできなくなったことに対する不甲斐なさや自尊心から、介護者の手助けを受け入れることに抵抗を感じる場合があります。誰かに頼ることを嫌う気持ちも理解し、被介護者のプライドを傷つけないよう配慮することが必要です。

食事・入浴・着替えなど介護職の現場で拒否されることは多い

食事や入浴以外にも、トイレや外出、服薬など、介護の現場では様々な場面で介護拒否が起こり得るため、被介護者が拒否する理由やそれに対処する方法をご紹介します。

食事拒否

認知機能の低下により、食べ方が分からないと感じたり、食べ物を食べ物と認識できなくなったりすることで、食欲がわかずに拒否する場合が珍しくありません。また、体調不良で食べられない場合もあるため、被介護者の行動をよく観察し、その状況に応じた適切な対応を取りましょう。

入浴拒否

お風呂が嫌いな人や介助の必要性を感じていない人から拒否される場合が多く、裸を見られることに抵抗がある場合も拒否につながりやすいです。その場合は、同性の介護者に対応をお願いするか、濡れタオルで体を拭く程度に抑えると介助できる場合があります。

着替え拒否

肩が上がらず、可動域が狭いために着替えるのが億劫になってしまった場合や、認知症の影響で着替えの段取りが分からなくなった場合に、拒否につながることがあるので、時間をおいてから声をかけ直すか、段取りをサポートしてあげるとスムーズに着替えてくれるかもしれません。

介護拒否されたときに無理強いは厳禁

被介護者から介護拒否をされた場合、意地になって無理強いをし、叱ってしまうことは厳禁です。大声を出して拒否する場合や、暴力につながる場合もあります。そのような行動は被介護者にとって不安やストレスを増大させ、更なる介護拒否を引き起こす可能性もあり、双方にとって心地よくない関係がトラブルの原因となりかねません。
被介護者にも自己の意思がありますので、介護者はその都度、被介護者の意向に寄り添うことが必要です。介護者から別の提案をしたり、被介護者がどうしたいのか、要望を聞いてみたりするのもよいでしょう。特に被介護者に具体的な行動を体感させ、介護の意味を説明して理解してもらうことで、スムーズな介護につなげること可能です。
また、一度落ち着くまでその場を離れ、タイミングを見計らって再度提案することも有効で、コミュニケーションを重視し、被介護者の気持ちを尊重して良好な関係を築くことで、共に安心して過ごせます。

今回のまとめ

食事や入浴、着替えなど日常の介護活動において発生する場合がある介護拒否は、認知症の進行や恥じらい、自尊心などさまざまな原因によって引き起こされる現象です。介護拒否が起きた場合でも、無理強いは避けてください。無理強いをすると被介護者の感情を逆なでしてしまい、更なる介護拒否を引き起こす原因となる可能性があるからです。スムーズな介護へと繋げるためには、被介護者の意志を尊重し、適切な対応や提案を行いながら、具体的な行動を体験させて理解を深めることが大切だと言えるでしょう。