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2023.11.22
介護現場で利用者から暴力・暴言を受けたときにはどう対処したらいい?
介護現場では時折、利用者からの暴力や暴言に直面することがあります。厚労省の調査によると、利用者から暴力・暴言を受けたことのある介護職員は、施設によって異なりますが4~7割という結果でした。介護者自身の安全と利用者への適切なケアを保持するため、適切な対処が求められています。
ここでは、利用者から暴力・暴言を受けたときの対処方法などを紹介します。
利用者の暴力・暴言の原因は?
利用者の暴力・暴言の原因として、病気による痛みや不快感、不安や恐怖といった心理的な側面、孤独感などが考えられます。
高齢になると認知症や脳の疾患などが原因で、痛みや不快感に悩まされることが増えてきます。痛みを言葉でうまく表現できないため、ストレスがたまり、職員に気づいてもらえない場合に、些細なことがきっかけで暴力や暴言に発展してしまうことが少なくありません。
身体が思うように動かなくなり、できないことや思い通りにならないことが増えてしまうと、不安やイライラが募ります。担当する介護職の態度に気に食わないことがあったりすると、「自分は軽視されている」と腹が立ち、感情が爆発することもあるでしょう。
また、入浴・排せつ介助などに対する不安や恐怖から、乱暴な態度をとってしまう人、職員に話を聞いてほしくても、自分から言い出せずに注意を引きつけるために、八つ当たりする人もいます。
さらに、施設の環境や他の利用者との関係などがストレスとなり、暴力や暴言に及ぶこともあるのです。
暴力・暴言を受けたときの対処方法
暴力・暴言を受けたとき、まず冷静になり安全を確保します。急に反論したり、抵抗してしまったりしては逆効果です。利用者の感情が高ぶっているときは距離を取り、様子を見てください。危険を感じたら、すぐに他の職員に協力を求めましょう。一人で解決しようとはしないで、チームで対応するのがポイントです。職員が複数いれば、暴力を避けながら、気持ちが落ち着くよう声掛けをすることも可能になります。
落ち着いた頃を見計らって、話を聞く姿勢を示し、何が原因でそのような反応を示したのか理解するようにしてください。利用者の声に耳を傾け、相手の暴力の傾向を把握すると、ある程度予防することが可能になります。気持ちを理解しようとすることが大切です。
施設全体で行うべきことについて
暴力・暴言は利用者と介護職員だけの問題ではなく、施設全体の問題と捉えて対応することが重要です。利用者の状態や性格を理解し、どのような状況で誰に対して(特定の個人か無差別か)行うのかなどを把握した上で予防策を講じてください。
利用者の状態や特徴、日常の変化などをチームで共有し、事前にリスクを見越して行動することも有効です。
また、暴力や暴言などのハラスメントに関する定期的な研修やワークショップを実施し、スタッフ同士で知識や経験を共有します。問題となっている利用者に対する接し方やケアの仕方を見直し、再発防止に努めましょう。
今回のまとめ
介護現場での利用者の暴力・暴言は、利用者自身が抱えるストレスや孤独、不安、恐怖が原因であることが少なくありません。介護職員には、利用者が行為に及ぶ背景を理解した上で、落ち着いて適切な対応を取ることが求められます。施設全体の問題として予防策を検討し、再発防止に努めることが大切です。