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2023.12.08
清拭介助を行う介護職が事前に把握しておくべき手順と注意点
清拭(せいしき)介助は、利用者が日常生活を快適に過ごす上で基本となるケアの一つです。利用者の身体を清潔に保ち、生活の質を維持するためのデリケートな仕事で、介護職は適切な手順と注意点を理解しておかなければなりません。
ここでは、清拭介助を安全かつ効果的に行うための手順と注意点などを紹介します。介護職で自身の行っている清拭介助の手順を確認したい方、介護職を目指す方は参考にしてください。
最初の手順は清拭道具の準備とチェック
清拭は、入浴が難しい高齢者や障害者の身体を温かいタオルで拭く行為です。入浴に代わって身体の汚れを落とし、清潔な皮膚を維持するとともに皮膚トラブルを予防します。
清拭介助を始める前に、適切な道具の準備とチェックを行います。準備する物は、清潔なタオルやガーゼ、温かいお湯、保護具などです。
清拭を受ける方の皮膚を傷めないよう、柔らかく清潔なタオルやガーゼを用意してください。尿や便などの汚れのたまりやすい陰部は、感染防止のため専用のタオルを用意するのがおすすめです。タオルは多めに用意すると安心できます。
お湯が適温で温かいと、利用者の快適さにつながるため、50~55℃程度の熱めのお湯を洗面器やバケツに入れておき、タオルを温めます。冷める可能性があるため、お湯は最後に用意するのがおすすめです。ゴム手袋とエプロン、着替え、軟膏・ボディクリームなども準備しておくと、スムーズな対応が可能になります。
上半身から下に向けて介護職が順番に清拭
清拭の順番は、上半身から下に向けて行うのがポイントです。
まずは、頭を蒸しタオルで蒸らした後、ドライシャンプーを使って洗髪します。顔を拭く時は、清潔なタオルで顔の中心から外へ向かうように優しく拭きましょう。次に首、腕、胸、背中の順に進みます。腕は指先から腕の付け根に向かって拭きます。脇の下や指の間は拭き忘れが多いため、気を付けてください。
お腹は円を描くように拭いた後、足首から足の付け根に向かって拭くと、血行促進に繋がります。膝の裏、足指の間なども忘れずに行ってください。お尻は床ずれしていないか確認しながら拭くようにします。陰部の清拭は別のタオルで行うのですが、デリケートな部位のため、可能であれば利用者本人に任せてください。陰部の後に肛門を拭くようにすると良いでしょう。
清拭介助には力加減とプライバシーの配慮が必要
清拭介助の際には、適切な力加減が大切です。血行を良くするために強くこすって清拭を行う人もいますが、あまり強くこすると皮膚を傷つける可能性があるため、適度な力で汚れを取り除く必要があります。声掛けをしながら、利用者の状態や好みに合った力加減に気を配ってください。
プライバシーの確保も大切です。清拭介助は、利用者にとって非常にプライベートな作業です。カーテンを閉じる、ドアを閉めるなど、プライバシーを守るための配慮を怠らないようにしましょう。
清拭を行う前に、必ず利用者にその日の体調を確認します。清拭は体力を消耗するため、事前に体調の変化が見られる場合は、他の介護職や看護師に相談してください。利用者の体調がすぐれない時は、無理をせず清拭を見送る判断も大切です。
今回のまとめ
清拭介助は、利用者が清潔な身体を保ち、生活の質を維持するための基本的なケアの一つです。デリケートな業務であるため、介護に携わる者として適切な手順と注意点をしっかりと理解し、プライバシーに配慮しながら行ってください。