お知らせ・コラム Column
Column
2023.12.11
熱中症を予防するための介護施設のエアコンの最適な設定温度は?
地球温暖化の影響で日本の夏は猛暑日が連続する傾向にあり、高齢者の熱中症リスクの増加が社会問題となっています。多くの高齢者が生活する介護施設では、適切な温度管理が極めて重要です。介護施設でのエアコンの最適な設定温度は何度なのでしょうか。
ここでは、最適温度や注意点、エアコンを効果的に使うポイントについて紹介します。
体温調整が衰えているので26度が最適
消防庁によると、熱中症で救急搬送される患者の半数以上は65歳以上の高齢者となっています。
高齢者は、若い頃に比べると暑さに対する感覚機能が低下しています。そのため、若い人が快適に感じる温度が、高齢者にとっては寒く感じることも少なくありません。体温調節機能も衰えているため、体温が上昇してもうまく熱を放散できなくなっています。つまり、高齢者は体に熱がたまりやすく、深部体温が上昇しやすい状態にあることから、暑さやのどの渇きを感じていなくても、熱中症のリスクが高くなっているのです。
高齢者の特徴を考慮すると、夏場の介護施設のエアコンの設定温度は26度が最適です。26度にすることで大半の高齢者が快適に過ごせる環境を確保できます。寒いと感じる高齢者には、一枚羽織ってもらうようにすると良いでしょう。
温度だけでなく湿度も重視することが重要な理由
熱中症の予防には適切な温度だけでなく、湿度も非常に重要です。湿度の高い状態が続くと、汗の蒸発が妨げられ体温調整が難しくなります。特に高齢者は汗をかきにくい傾向があるため、湿度管理は不可欠です。
東京都福祉保健局の「社会福祉施設管理者のための環境衛生設備自主管理マニュアル」によると、介護現場で夏場の快適な湿度は40〜70%とされています。70%以下になるように湿度をコントロールすることが大切ですが、どのくらいの湿度だと快適に感じるかは温度によって異なるので注意してください。温度が高いときに湿度を低くすると涼しく快適に感じられ、温度が低いときに湿度を上げると暖かく感じる傾向にあります。
夏はエアコンで冷房しながら除湿することで、より快適に過ごすことができます。温度や湿度はエアコンの設定温度に頼らずに、温湿度計を使って実測するのがおすすめです。
介護施設のエアコンを効果的に使用するポイント
エアコンを効果的に使用する1つ目のポイントは、人が行動する時間帯を考慮した上で稼働することです。介護施設の昼間の時間帯は、ホールでのレクリエーション参加、食堂や浴室への移動など、人の動きが活発で熱がこもりやすい傾向にあります。人が動く時間帯に注意を払い、エアコンを適切に稼働させることが大切です。
2つ目は定期的な換気です。エアコンの効果を最大限に引き出すためにも、定期的な換気は欠かせません。朝晩の涼しい時間帯に窓を開けて空気を循環させることで、施設内の空気を清潔に保ちます。
3つ目として、施設内の温度差を少なくすることにも注意を払いましょう。特定の場所だけが寒すぎたり暑すぎたりすると、移動する度に体調を崩す原因となりかねません。施設全体での温度差を最小限に抑えてください。
今回のまとめ
介護施設における適切なエアコンの使用は、高齢者の健康を守る上で非常に重要です。設定温度は26度を基本に設定し、湿度管理や定期的な換気などを行うことで、快適かつ安全な環境を提供することができます。高齢者が安心して過ごせる環境作りを担うのは、介護職です。快適で安全な環境を実現するために、今回紹介した内容をぜひ役立ててください。