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2023.12.22

介護職関係者が知っておくべき安全な車いす介助のポイント

介護現場において、歩行ができない方や筋力が衰えてしまった方の移動手段として車いすはかかせない道具です。しかし、初めて介護職になった方にとって車いすは馴染みがなく、どのように介助を行えば良いか困ってしまうケースも少なくありません。ここでは、車いす介助を行う上で知っておくべきポイントについて解説します。

ブレーキや車輪などの安全確認は車いす介助の基本中の基本

ご利用者が車いすに乗る前に安全確認を行うことが大切です。外出等で使用中に車いすの異常や不具合を見つけてもすぐ対応できず怪我や事故に繋がります。安全確認を行う際は以下の点検ポイントを押さえておきましょう。

・タイヤの空気圧確認、パンクや傷
・ブレーキやストッパー、ネジ、部品のゆるみ
・車輪の曲がり
・フットサポートやアームサポートのゆるみ
・座面のたわみ

ここで重要なのは、一度介助者自身も車いすに乗ってみることです。特にブレーキは人が乗っている状態と乗っていない状態でかかり方が異なります。実際に腕を置いてみる、座面に座ってみて初めて異常を発見できますので、まずは介助者自身が乗って安全確認を行いましょう。

車いすに座っている人の姿勢も大きなポイント

ご利用者が車いすを使用するにあたり、姿勢も確認すべきポイントです。以下のポイントに注目してください。

仙骨座りしていないか

仙骨座りとは、お尻が座面シートの前半分まで滑っており、背もたれに大きく寄りかかっている状態です。背中が丸くなるため、腰の痛みを引き起こす可能性があります。仙骨座りのまま移動してしまうとお尻がそのまま前に滑ってしまい、車いすからの転落事故にも繋がりかねません。

左右に傾いていないか

筋力低下や麻痺などのあるご利用者の場合、座っていても身体を支える筋力が低下しているため、左右に傾いてしまう状態です。左右に傾いた状態で移動をすると、柱などの障害物に接触してしまう可能性があります。また、仙骨座りや左右に傾いた状態で水分や食事を摂取していると顎が上がってしまい、うまく飲み込むことができず誤嚥に繋がるため注意が必要です。

座りすぎていないか

長時間同じ姿勢で座っていると、床ずれを起こす可能性があります。これは同じ姿勢、同じところに圧がかかってしまうためです。例えば、ご利用者の方だけではなく、私たちも同じところにずっと座っているとお尻が痛くなってしまいます。ある程度筋力のある方ならご自身でお尻をずらす動作ができますが、ご自身で動かすことができない方の場合、除圧できず床ずれを引き起こしてしまいかねません。

対応方法

上記のポイントに対しては、以下のように対応しましょう。

・座面の柔らかいクッションの使用
・ご利用者にあった座面、フットサポートの調整
・車いすからいすへの移乗
・ベッドに横になり休息

ご利用者の状況に合わせて、無理のない範囲で車いすを使用してください。

折りたたみなど介護職員の練習も大切

車いすを使用するご利用者だけではなく、操作を行う介護職員の練習も大切です。操作に慣れていない職員は、まず車いすの折り畳み方や広げ方を確認しましょう。畳むときは座面シートの前後を持ち上げ、広げるときは左右を一度少し広げてから座面シートの中央を下に押し完全に広げます。
介護職員は、止まる・動く・曲がる・後ろに下がるといった動作時に必ず声かけを行います。移動時以外は必ずブレーキをかけ、移動時は少しゆっくり目に移動してください。下り坂や砂利道では後ろ向きで対応します。段差の場合は、ティッピングレバーを踏みながら手押しハンドルを押し上げ前輪を段差に乗せてから、後輪を段差に沿って乗り上げるように後ろから押しましょう。段差が大きい箇所や2段以上の段差がある場合は、無理をせず2人以上で持ち上げます。

今回のまとめ

介護現場において、車いすは移動手段として必須です。しかし、点検不足や間違った使用方法により、ご利用者を不安にさせてしまったり怪我を負わせてしまったりするケースがありますので注意しなければなりません。正しい車いすの使用方法を学び、ご利用者も介護職員も安心して移動できるように心掛けてください。