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2023.12.25

_介護におけるポジショニングとは?正しい理解と実践で安全と快適さを提供

介護施設で働く介護職は、高度な介護が必要な利用者のために日常的にポジショニングについて配慮しなければなりません。この場合、ポジショニングという言葉は誰のどのようなポジションを指しているのでしょうか。ここでは、介護におけるポジショニングの意味と種類、介護時に正しいポジショニングに調整する重要性、そして具体的な実施方法について解説します。

正しいポジショニングを理解することが大切な理由

ポジショニングとは、介護をする際に利用者にとって安全で安楽な姿勢を確保することです。
人は食事や排せつ、移動などの日常生活動作を行う際には、無意識のうちに最も安全で楽な姿勢を取っています。しかし、介護が必要になると人の手を借りて姿勢を整えなければなりません。
筋力の低下や麻痺があると、適切なポジショニングの維持が困難になることがあります。そのため、クッションや減圧マットなどを活用したポジショニングが必要となるわけです。
ポジショニングの目的として、床ずれやむくみの防止、誤嚥の防止、呼吸・循環機能の維持、筋緊張の緩和と関節の拘縮防止などが挙げられます。
ポジショニングが正しくないと、食事の際の誤嚥や移動時の事故のリスクが高まり、むくみや床ずれの原因になります。特に、長時間同じ姿勢をとる車いすでの座位やベッドでの臥床、さらに食事の介助が必要な方や、体位交換の手助けが必要な方の身体介護を提供する際には、適切なポジショニングとその理由を理解しておくことが大切です。

正しいポジショニングの知識と具体的な実践方法

正しいポジショニングを理解するためには、身体の構造や仕組みの基本を理解しなければなりません。
食事の際には、あごを引いてやや前かがみになることで、気道に食物が流れ込むのを防げます。座位を自力で保てず、車いすからずり落ちやすい人や、リクライニングの車いすを使っている人は、どうしても背もたれに寄りかかるような姿勢になってしまいます。
適切なポジショニングを保つための対策として、背中と背もたれの間にバスタオルやクッションを入れると良いでしょう。左右に倒れてしまう場合は、脇にもクッションなどを挟むと効果的です。
ベッドで横になる場合のポジショニングでは、身体の一点に圧が集中しないように配慮して身体の緊張を緩和する姿勢にするのがポイントです。仰向けに寝ている場合は、嘔吐などがあった際のために頭側を少し高くします。ベッドと体の隙間にはクッションなどを入れて減圧してください。

ポジショニングの種類

ポジショニングの基本的な種類は、仰臥位、側臥位、半側臥位、座位(椅座位や端座位)などです。中でも、要介護者が多くの時間を過ごす仰臥位のポジションについて解説します。
仰臥位とはいわゆる仰向けの状態で、体の重さを頭部、胸部、肘、大腿、下腿などで支えている状態です。必要に応じて頭、背中、肘、膝などの下にクッションを当て、骨盤・骨格・体軸をまっすぐに保つようなポジショニングを行わなければなりません。
床ずれの防止では、腰骨や仙骨、大転子、踵などの好発部位に配慮して、減圧と関節の適切な位置を保つことが大切です。筋緊張や関節の拘縮がある場合には、無理に手足を動かすとポジショニングが悪くなる場合があるため、変形や拘縮に合わせてクッションで調整します。
また、仰向けの姿勢は痰の排泄がしにくく、横隔膜で肺が圧迫されやすい姿勢なので、呼吸機能の低下を招きかねません。胃の内容物が逆流した際にも気道に入りやすいため、食後は頭側を高くする、あるいは側臥位(横向き)にすることが大切です。誤嚥の防止では自力摂取が可能か否か、さらに嚥下障害の有無によって適切なポジショニングが異なります。

今回のまとめ

介護におけるポジショニングは、利用者にとって安全で安楽な姿勢を確保する基本的な配慮のことです。正しいポジショニングにより、食事が飲みこみやすくなり、呼吸が楽になります。また、ポジショニングでは体重を分散して、床ずれのできやすい部位に体重が集中することを防止することも大きな目的です。適切なポジショニングは、筋肉の緊張を緩め、利用者にとっても楽な姿勢だと言えるでしょう。