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2023.12.25
介護職が知っておきたい看護技術である陰部洗浄の目的と手段
病院へ入院した際に、陰部洗浄を受けたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。陰部洗浄は病院だけでなく、介護においても必要な技術です。
ここでは、介護職を目指す方へ向けて、陰部洗浄の目的、陰部洗浄を行う際の準備や手順、注意点について解説します。
介護職が陰部洗浄を行う目的
陰部洗浄とは、要介護者の陰部を清潔に保つために行う洗浄です。入浴ができない方、自立した排泄が難しい方、膀胱留置カテーテルを利用している方などを対象とします。特に膀胱留置カテーテルを挿入している方は、逆行性尿路感染を防ぐために1日に数回の陰部洗浄が必要です。
介護職が陰部洗浄を行う目的は以下の2つです。
陰部を清潔に保つ
排泄物には多くの細菌やウイルスが含まれています。陰部周辺に排泄物が付着していると、陰部や肛門周辺の感染症に罹患するリスクが高まりかねません。また、おむつや尿とりパッドなどを装着していると排泄物で蒸れやすいため、感染症だけでなくかぶれやただれを引き起こすこともあります。
そのため、排泄時はもとより、定期的に陰部洗浄を行い、清潔さを保つことが必要です。
体調の変化の早期発見
尿や便、陰部周辺皮膚の状態は、要介護者の体調を測る重要な情報です。しかし、服の上からは観察が難しく、陰部周辺の腫れ、ただれ、かぶれ、発疹などの発見が遅れることがあります。
陰部洗浄はこれらの状態を把握する機会です。定期的な陰部洗浄で、要介護者の体調の変化や異常を早期に発見できれば、速やかに適切な処置を行うことができます。
陰部洗浄で気をつけたいポイント
陰部洗浄を行う際には、要介護者の体調の変化を観察し、本人の心情に配慮しながら進めるのがポイントです。
注意深く観察
陰部洗浄の目的は、陰部の清潔を保ち、体調の変化を早期に発見することです。排泄物や皮膚の状態に異常がないかしっかり観察しなければなりません。
羞恥心への配慮
陰部洗浄を行う際には、介護を受ける人の気持ちに寄り添い、羞恥心に配慮することが重要です。次のような点に注意して手際よく行います。
・ドアやカーテンを閉めてプライバシーを守る
・バスタオルなどを活用してできるだけ露出を少なくする
・「汚い」など介護対象者が傷つくような言葉は使わない
洗浄の仕方
繊細で敏感な陰部は、洗浄のしかたによっては、かえって皮膚のトラブルを引き起こしかねません。以下の点に注意して丁寧に洗浄する必要があります。
・洗浄剤はよく泡立てて優しく洗いよくすすぐ
・陰部を強くこすらない
・お湯の温度は人肌より少し温かくしてゆっくりかける
陰部洗浄の準備と流れ
陰部洗浄は、様々な準備をした上で、正しい手順で行う必要があります。ここでは、一般的な陰部洗浄の準備と流れをご紹介しますが、実際の手順は施設の環境や介護を受ける人の状態によって異なる点に注意してください。
準備するもの
・防水シーツ
・手袋
・マスク
・ビニールエプロン
・交換用おむつ
・洗浄剤
・ぬるま湯を入れた洗浄ボトル
・洗浄用タオル、またはガーゼ
・ふき取り用ペーパー
・バスタオル
・バケツ
陰部洗浄の流れ
1.介護対象者に陰部洗浄を行う旨を説明し、同意を得る
2.ドアやカーテンを閉めてプライバシーを確保する
3.防水シートを敷く
4.対象者を仰臥位にして膝を立ててもらう
5.大腿部まで露出し、他の部分にはバスタオルを掛ける
6.陰部洗浄
・陰部をぬるま湯で濡らす
・洗浄剤を泡立て陰部に塗布する
・泡をなでるように優しく洗う
・ぬるま湯ですすぐ
・ふき取り用ペーパーで水分をふき取る
7.側臥位になってもらい、陰部と同様の手順で臀部を洗う
8.新しいおむつを着用
9.衣服やベッドを整えて終了
今回のまとめ
陰部洗浄は、陰部の清潔を保ち、要介護者の健康を守るために行います。陰部洗浄を行う際には、排泄物や皮膚に異常がないか観察すること、洗浄を受ける人の気持ちに配慮すること、洗浄することによる炎症を起こさないように丁寧に洗うことが大切です。