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2023.12.26

女性の介護者のオムツ交換を実施するときの手順やポイント

高齢者の割合が増え続けている現在、介護の需要も増大しています。日々の介護の中でも大切な業務の一つが、オムツ交換です。特に女性の要介護者の場合は、女性の体の特性に合わせたケアはもとより、プライバシーにも一層配慮しなければなりません。
ここでは、女性の要介護者へオムツ交換を行う際の手順や注意すべきポイントを解説します。

女性のオムツ交換をする前に準備しておいた方が良いこと

女性の要介護者に対しては、特に心理的な側面を十分に考慮した上でオムツ交換を行う必要があります。本人の自尊心を損なわずに短時間で完了できるよう、十分な準備をしておかなければなりません。

道具の準備

女性の要介護者のオムツ交換において、最初に確認したいのは、必要な道具がすぐに手の届く範囲に整っているかどうかです。
用意するエプロンや使い捨て手袋は、汚れの拡散や感染などから要介護者だけでなく介護職員も守るために使います。陰部洗浄も行う場合は、適切な温度のお湯と泡立ちの良い石鹸が必要です。洗浄後の拭き取りに使用する清潔な布やティッシュ、新しいオムツや尿取りパッドなども予め手元にセットしておくと、スムーズに交換できます。
準備不足で介護者が席を外すと、要介護者はその間下半身を露出した状態で待機しなければならならず、自尊心を傷つけてしまうかもしれません。

プライバシーの確保

オムツ交換を行う場所によっては、他者の視線が気になることもあります。例えば、同居人がいるご自宅、複数の利用者が同室に入居する施設などです。また、共同トイレの個室で行う際にトイレのドアを開放してしまうと、トイレの利用者に見られてしまう可能性があります。
カーテンや仕切りなどを活用して、他の入居者や訪問者からの視線を確実に遮断するなどの工夫が必要です。

コミュニケーション

オムツ交換は、要介護者にとって非常にデリケートな作業なので、事前にその旨を伝え、同意を得ることが重要です。交換中に感じることや不安などないかも確認し、それに応じた配慮も必要とします。触られると痛みや不快感が生じる部位などの有無を事前にヒアリングしておくと、よりスムーズで心地よいケアを提供できるでしょう。

オムツ以外の着脱はできるだけ本人にしてもらう

介護において最も大切なのは、要介護者の心の健康や尊厳を守り、生活の質を高めることです。そのため、要介護者の自立を尊重し、可能な限りその能力を維持・向上させる必要があります。
オムツ交換においても、衣服などの着脱はできるだけ要介護者自身で行ってもらうように伝えましょう。日常的な動作を自分で行うことは、日常生活動作(ADL)の能力を維持する上でも有効です。
注意しなければならないのは、要介護者が無理なく安全に動作できるかを確認することです。要介護者によっては、運動機能の低下、病状、投薬の副作用などの影響で、着脱動作が困難になる、あるいは無理に行うと痛みを感じる場合があります。要介護者本人が衣服を着脱する際は、介護者は適切な支援や介助を行い、本人の安全を確保しなければなりません。

女性の入居者の場合は女性の介護職員が行う

文化的な背景などから、女性は自身の体を他人、特に異性に見られることに不安や恥ずかしさを感じるため、オムツ交換においても大きな抵抗を持つ傾向にあります。そのため、女性の要介護者のオムツ交換では、女性特有の感じ方や心情を十分に理解し尊重できる女性の介護職員が担当するのが望ましいでしょう。
同性の介護職員がオムツ交換を担当すれば、要介護者の心の負担を軽減できます。要介護者がリラックスしている状態であれば、衣服の着脱や陰部洗浄などもスムーズに進められるようになり、結果的に短時間でオムツ交換を完了することが可能です。
しかし、実際の介護現場では、緊急事態の発生や、人員不足などの理由から、男性の介護職員が女性のオムツ交換をする場面も考えられます。その場合は、要介護者とのコミュニケーションが欠かせません。要介護者の気持ちや希望を尊重しつつ、必要な介護を提供するための方法を共に考え、本人や家族の理解と納得を得ることが大切です。

今回のまとめ

女性の要介護者のオムツ交換では、特に細やかな配慮と尊重が求められます。事前の準備、尊重する心構え、適切な人選などのポイントを押さえることで、要介護者にとっても介護職員にとっても、より良い介護を実現できるでしょう。要介護者の心情や身体的な状態を考慮した上で、更衣などのADLを取り入れるのも大切なポイントです。