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2024.01.22
認知症ケア専門士の合格率や勉強法
日本では、高齢化社会の進行とともに、認知症患者の数が増加傾向にあり、介護現場における問題となっています。介護者が安全に認知症患者を介護するためには、適切な知識や技術が必要です。本記事では、認知症に関する専門的な知識や技術を身に着けることができる資格である「認知症ケア専門士」についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
認知症ケア専門士の合格率は50%前後
認知症ケア専門士とは
認知症ケアの専門的な資格として、認知症ケア専門士が挙げられます。一般社団法人認知症ケア学会が設けた民間資格であり、認知症に関する専門的な知識、介護技術を持っていることの証明が可能です。認知症患者の増加にともない、医師や看護師、介護福祉士などの資格を持つ方も取得しているケースが少なくありません。
認定試験は、2005年から2022年までに18回開催されています。医者や看護師、介護福祉士の資格保有者なども受験している資格です。その合格率は約50%前後となっており、難易度はやや高めと言えるでしょう。
公表されている過去5回の合格率は以下のとおりです。
・第17回試験(2021年):53.7%
・第16回試験(2020年):56.5%
・第15回試験(2019年):53.3%
・第14回試験(2018年):54.7%
・第13回試験(2017年):56.5%
受験条件、試験までの手順
資格の受験条件は、過去10年の間に認知症ケアに関する実務経験が3年以上であることです。前提となる資格や特定の実務経験は必要ありません。
受験申込は、認知症ケア専門士認定試験の公式サイトから行えます。試験は1次試験と2次試験に分かれており、それぞれの申請が必要です。
第1次試験の内容は、認知症ケア標準テキストの内容に沿って、「認知症ケアの基礎」「.認知症ケアの実際Ⅰ」「認知症ケアの実際Ⅱ」「認知症ケアにおける社会資源」の4分野からそれぞれ出題され、各分野で70%以上正答すれば合格です。
第2次試験の内容は、認知症ケアの事例(3題)に対する論述と面接、グループディスカッションです。回答内容が評価基準を満たしている場合に合格とみなされます。
独学の場合はテキストを繰り返しやり込む勉強法がお勧め
認知症ケア専門士の資格取得のためには、試験対策が必須です。
試験に向けた勉強の基本は、一般社団法人日本認知症ケア学会の公式テキストである「認知症ケア標準テキスト」に沿って勉強することがおすすめです。このテキストは公式ホームページから購入でき、試験範囲はこのテキストに準じた内容となっています。1次試験では認知症ケアの知識を求められるため、非常に重要なテキストです。
標準テキストで基本を理解したら、過去問を解きましょう。問題集を解き、つまずいた部分は復習し、苦手分野を克服することが必要です。最近ではアプリを使って学習できるため、移動中や空き時間に試験対策が可能です。認知症ケアに関連する内容は、すべて網羅する必要があり、繰り返しテキストや問題集をやり込むことがおすすめです。
合格率を上げるためには講座を受講して受験対策をする
独学では集中力が続かない、勉強できているのか不安だという方は、受験対策の講座を受講して勉強する方法が有効です。
日本認知症ケア学会が主催する講座では、各分野における重要なポイントを解説しています。さらに、講座終了後に模擬試験、講師の問題解説を受けることができるため、より効果的な学習の手助けとなるでしょう。
ただし、1万5,000円の受講料がかかり、受講期間と定員も定められています。自身の学習スケジュールと予算などを考慮して判断してください。
今回のまとめ
認知症ケア専門士は、認知症ケアにおける専門知識と介護技術を有していることを証明できる資格です。認知症ケアの需要が増えつつある現在、資格が取得できれば、求職や転職に有利に働きます。ただし、合格率は50%前後とやや難易度が高く、資格取得には相応の勉強時間が必要ですので、専用のテキスト、過去問、講座などを活用し、十分な試験対策を行いましょう。