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2024.01.31
精神保健福祉士とは?仕事内容と取得するメリット
精神的な障害に悩む人が近年、増加しています。厚生労働省によると、精神疾患を持つ総患者数は約419.3万人で、入院患者数は過去15年間で減少しているのに対し、外来患者数は約223.9万人から389.1万人と増加傾向にあります。これに伴い、精神障害を持つ人の支援に特化する精神保健福祉士の役割も高まってきました。ここでは、精神保健福祉士の仕事内容や特徴、資格を取得するメリットについてご紹介します。
精神保健福祉士とはメンタルヘルスに関わる国家資格
精神保健福祉士は、精神障害を抱える人への専門的な支援を行う国家資格です。1997年の精神保健福祉士法の施行と同時に誕生した国家資格は、精神障害のある相談者のメンタルヘルスの状態を的確に評価し、必要に応じたサポートや支援を行うための専門知識と技術を備えた専門家を認定します。社会福祉振興・試験センターによると2023年3月時点の資格登録者数は、10万2,069人でした。
精神保健福祉士はメンタルヘルス分野における専門家として、精神障害者の人生の質の向上と社会復帰を支援し、より包括的な福祉社会の実現に寄与しています。
仕事内容は精神的な問題を抱えた人の援助や社会復帰に関する相談対応
精神障害者への支援は、2006年の障害者自立支援法、2012年の障害者総合支援法が整備されたことで、入院医療中心から地域生活中心へシフトし、精神保健福祉士の仕事内容も医療と地域、職場、家庭などとの連携が重視されるようになりました。
精神保健福祉士は、相談者と密接に関わりながら、彼らの社会的スキルや自立支援のためのトレーニングを行います。例えば、一般企業で働くための知識やスキルを教える就労移行支援、一般企業での就職が困難な人へ働く場を提供する就労継続支援があります。
また、地域社会と連携し、精神障害を持つ人が地域の一員として受け入れられる環境を作り出すことも精神保健福祉士の重要な仕事です。地域での住む場所を確保するだけでなく、十分な福祉サービスを受けられるように手配します。
さらに、相談者の家族とも連携し、障害に対する理解を深めてもらうため、家族に対して説明することもあります。
医療機関や行政機関など様々な場所で働ける
精神保健福祉士の勤務先として、精神病院、精神保健福祉センター、地域保健施設など、精神保健サービスを提供する様々な施設があります。専門職としての知識やスキルを活かせる場所が多岐にわたることは、資格を取得する大きなメリットと言えるでしょう。
精神病院では、入退院の援助や退院後のサポート、社会復帰の支援などを行います。特別養護老人ホームや介護老人保健施設など介護施設での仕事は、認知症の高齢者のケアや生活相談です。障害者が共同生活を送るグループホームなどでは、医療費や生活費に関するアドバイスを行い、行政機関や施設と連携して、適切な福祉サービスを利用できるよう支援します。
その他にも、アルコール・薬物・ギャンブル依存症の人向けの回復支援施設で働く人、スクールカウンセラーとして児童生徒からいじめの相談を受ける人、産業カウンセラーとして一般企業でカウンセリングを行う人もいます。
今回のまとめ
精神保健福祉士は、精神的な障害を抱える人々に特化した専門職です。精神病院や地域保健福祉センター、介護施設、障害者福祉施設など幅広い分野で活躍する機会があり、精神障害者の社会復帰と生活の質の向上に大きく貢献しています。精神的な障害を持つ人が心の健康を取り戻せるよう、包括的に支援する精神保健福祉士の仕事は、今後ますます重要になってくるでしょう。