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2024.03.14

介護士に求められる認知症患者への適切な接し方や注意点

介護施設を利用している方の中には、程度の差はありますが認知症の方が少なくありません。介護士として働くと、認知症の方への対応が難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。ここでは、認知症患者が抱えている感情や介護士が接する際のポイント、認知症患者の介護に役立つ認知症介護基礎研修についてご紹介します。

認知症患者がどういった感情を抱えているのかを理解するようにする

脳の変化により記憶力や判断力が衰える認知症が進行する過程では、認知症患者自身も戸惑いや強い不安を感じます。認知症が進むと、自分がした行動自体の記憶が失われるため、物を盗まれたと勘違いしたり、周囲の人に意地悪をされているように感じたりするケースも少なくありません。認知症初期から中期にかけては、介護士の助言をスムーズに受け入れることが難しい時期です。
認知症初期では、思い出せないことやモヤモヤした感覚が苦痛になり、判断力の低下によって決断に時間がかかることを自覚します。自分が自分でなくなっていくような不安は、認知症患者の気持ちを沈め、意欲を減退させる要因となりかねません。また、個人の性格によってはイライラして周囲の人に八つ当たりしてしまう場合も出てきます。
介護士としては、認知症患者の「自分の能力の衰えを受け入れがたい」という気持ちや「悲しい」という感情を理解し、共感することが重要です。

認知症患者への接し方のポイント

能力の衰えを感じてストレスを抱える認知症患者は、「同じ話を繰り返している」「さっき言ったばかりなのにもう忘れている」などの指摘を受けるだけでプライドが傷付きます。介護士の側からは「分かっていてやっているのではないか」と感じる場合もあるかもしれませんが、認知症患者には悪意はありません。
できない部分にフォーカスすると、絶望感や恐怖心を植え付けてしまいますので、同じ話でも相槌を打ちながら聞いたり、ほめたりすることが大切です。日常生活の中で些細な行動に対しても「ありがとう」と伝えるよう心掛けると、認知症患者は「自分も役に立っている」と感じて安心できます。
認知症が進行すると、言葉の情報は理解しづらくなり、視覚的な情報や声のトーンに反応するようになります。笑顔で目を合わせながら「自分の味方だ」と感じさせ、優しいトーンで話すと接しやすくなるでしょう。

認知症介護基礎研修で認知症患者の接し方に対する理解を深めてみる

認知症患者は、徘徊して迷子になったり、物を盗られたと主張したりするなどの行動を取ります。また、病状の進行に応じて、口に入れてはいけない物を食べようとしたり、便などを触ってしまったりする場合も少なくありません。アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、レビー小体型認知症など、認知症の種類によっても内容に差異があり、行動が影響されるでしょう。
認知症患者へ適切に接するためには、認知症介護基礎研修を受講し、認知症の方への理解を深めることをおすすめします。この研修は集合研修だけでなく、eラーニングも活用して構成されていますので、働きながらでも受講しやすいのが特徴です。介護保険事業所では、2024年4月までに介護士全員の受講が義務付けられており、認知症介護指導者養成研修や認知症介護実践リーダー研修などのステップアップ研修も用意されています。

今回のまとめ

初期の認知症患者は、自分自身の記憶力や判断力の低下に強い不安を抱えています。認知症の方が安心して気持ちよく過ごせるようにするためには、できる部分に焦点を当て、患者さんのプライドを傷つけないように配慮することが重要です。また、認知症が進行しても表情や声のトーンを理解する能力は残っているため、安心感を与える雰囲気作りが大切だと言えるでしょう。認知症介護基礎研修では、認知症患者への適切な接し方や留意点について学ぶことができますので、機会があれば受講することをおすすめします。