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2024.04.10
介護福祉士実務者研修「医療ケア」の演習内容
介護福祉士の受験資格となっている介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)では、「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア」のスクーリングが必須です。中でも「医療的ケア」は、医療に関する内容だけにハードルが高いと感じている人も少なくありません。ここでは、実務者研修の一番の難所とも言える「医療的ケア」の演習内容について解説します。
通信過程の場合50時間+1日〜3日間の演習が必要
実務者研修の通信課程では、カリキュラムの⼤部分が自宅学習、つまり通信課題という名の「宿題」で賄われますが、通信課題以外は資格スクールに通って授業を受けなければなりません。これを「スクーリング」と呼び、介護過程Ⅲ(45時間)と医療的ケア・演習(50時間+1⽇〜3⽇)が対象科目です。日数に直すと一般的には7⽇〜10⽇前後ですが、スクールによってはスケジュールの組み方で日数が異なることもあります。
医療的ケアの演習は授業の性質上、必ず指定された⽇程に指定された場所で受講しなければなりません。
たんの吸引(喀痰吸引)で3種類、経管栄養で2種類の⼿技を学ぶのですが、実務者研修を修了することで直ちに医療⾏為ができるわけではなく、追加の研修が必要です。
演習は、実際の現場での対応を想定したものののため、高度な技術と知識が求められます。
「喀痰吸引」の演習内容
高齢者は痰が絡みやすく、自分で吐き出せないことがあります。痰が気管などに詰まると呼吸困難や窒息のリスクが高まるため、実際の現場でも喀痰吸引を行うケースは珍しくありません。
喀痰吸引の演習では、⼝腔内・⿐腔内・気管カニューレ内部の3種類の喀痰吸引手技と吸引器の正確かつ安全な使い方を習得します。喀痰吸引を練習する回数は決まっており、種類ごとに最低5回繰り返さなければなりません。
1〜4回⽬は練習で、回数を重ねながら正しい手順を覚えるのが目的です。最後の5回⽬は評価対象となり、⼀定の基準をクリアしないと不合格となります。
「経管栄養」の演習内容
経管栄養は、口からの食事摂取が困難になった場合に、鼻から挿入したチューブで流動栄養食を流し込む処置です。
経管栄養の演習では、「胃ろう・腸ろう」への経管栄養と、経⿐経管栄養の方法を習得します。胃ろう・腸ろうはお腹に小さな穴を開け取り付けた器具のことで、経鼻とは文字通り、鼻から栄養を流し込むことです。経管栄養の回数も決まっており、こちらも最低5回繰り返し、正確な技術を身につけます。
医療的ケアの演習はそれぞれ最低5回、項⽬数は5種類あるので、最低でも25回は⼿技を練習し、不合格になったら合格するまでやり直さなければなりません。「最低」25回なので、上手くできない人に対してはもっと回数が必要になることもあります。実務者研修のカリキュラムのほとんどが時間数なのに対し、医療的ケアの演習だけが⽇数なのは、そのような理由からです。
スクールも講師も受講⽣の方々の合格を目指しているため、スクーリング前にイメージ動画を配布したり、場合によっては追加⽇程を組んでくれたりするところもあります。
今回のまとめ
実務者研修の医療的ケア・演習では、痰の吸引(喀痰吸引)と経管栄養で5種類の⼿技を「最低」5回以上行う必要があり、最後の5回目で合否が決まります。医療的ケアは、介護職員がより高度なケアを提供するための重要なステップです。何度も繰り返して正確な手技を習得しましょう。