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2024.04.12

アルツハイマー新薬が保険適用に!介護職が知っておくと良い内容と現場への影響を解説

認知症の患者数は年々増加しており、2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達すると予測されています。そんな中、2023年12月20日にアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が日本で保険適用されました。

認知症治療における大きな進歩と言われており、介護現場にも大きな期待をもたらしています。しかし、レカネマブは万能薬ではありません。期待と同時に、いくつかの注意点も存在するのが現状です。介護職として適切に対応するためには、レカネマブに関する正しい知識を持つことが求められています。

本記事では、レカネマブの効果と注意点、そして介護現場にどのような影響を及ぼすかについて詳しく解説します。
アルツハイマー新薬「レカネマブ」とは?
認知症は、脳の認知機能が障害を受け、日常生活に影響を及ぼす病気です。認知症の中で最も一般的なのはアルツハイマー型認知症であり、全体の約7割を占めています。この病気は、脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、神経細胞が損傷を受けることで進行します。

レカネマブは、製薬会社エーザイなどによって開発された、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβを除去する薬です。従来の薬では、アミロイドβの除去は困難でした。レカネマブは、アルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせ、認知機能の低下や日常生活能力の喪失を抑制することが期待されています。

レカネマブの投与対象は、軽度認知障害または軽度アルツハイマー病の患者です。レカネマブの登場は、アルツハイマー型認知症の治療に新たな可能性を示しています。しかし、レカネマブが全ての認知症を解決する万能薬ではないこと、そして投薬には一定の基準が必要であることを理解しておきましょう。
レカネマブは万能薬ではない?知っておくべき注意点
レカネマブは、認知症すべての患者に対して効果があるわけではありません。投薬の対象は軽度認知障害または軽度アルツハイマー病で、脳内にアミロイドβが蓄積している患者に限られます。認知症の専門医の意見によれば、これらの条件を満たす患者は、認知症患者の約1割程度とされています。

副作用についても理解しておくことが重要です。厚生労働省は、レカネマブを初めて使用する際には、頭痛、寒気、発熱、吐き気などの症状が現れる可能性があるとしています。さらに使用開始から数ヶ月以内に、脳の腫れや少量の脳内出血が見られるケースも報告されており、そのため専門の医療機関での注意深い観察と評価が必要とされているのです。

また、レカネマブの投与は、2週間に1度、約1時間の点滴という形で行われます。そして、原則として1年半の期間にわたって投薬を続ける必要があるのです。さらにレカネマブを投与できる医療機関は限られており、患者によっては、通院などが大きな負担となる可能性があります。

最後に、レカネマブの投与には高額な薬剤費が必要です。年齢や所得によりますが、高額療養費制度を利用しても年間約14万円が必要となります。この費用に見合った効果が得られるかどうかは、今後の検証が必要です。
認知症新薬が介護現場へ及ぼす影響について
レカネマブの投与対象者や、提供できる医療機関が限られていることを考えると、介護現場に急激な変化をもたらすとは考えにくいと言えます。しかし、レカネマブはアルツハイマー型認知症の原因物質を直接取り除くことが期待される新薬です。認知症状の進行を抑制できれば、介護現場の負担軽減につながる可能性があります。

レカネマブは医療機関での投与が必要なため、直接介護職が関与することは少ないと思われます。しかし、レカネマブについての基本的な知識を持つことは非常に重要です。

なぜなら利用者や家族から、新薬についての質問を受ける機会が今後増えていくと考えられるからです。また、新薬を使用して治療を受ける人々を介護する場面も増えていくでしょう。新薬には頭痛や寒気などの副作用があるため、それらの症状を持つ利用者に対してスムーズに対応するためにも、レカネマブの特性を理解しておく必要があります。

利用者や家族、そして介護職が新薬をより身近に感じ、適切に使用するために何ができるかを考えていくことも必要です。
まとめ
アルツハイマー新薬「レカネマブ」は、アミロイドβを除去することで症状進行を遅らせる効果が期待されています。しかし対象となる患者は限られており、副作用や高額な薬剤費など注意点も存在するのが現状です。

介護現場への影響としては、利用者への情報提供や副作用に対する対応など、介護職の知識向上が求められます。新薬の効果と課題を理解し、適切なケアを提供することが重要です。

今後、レカネマブの効果や副作用に関するデータが蓄積され、利用者にとってより良い治療薬となることを期待しましょう。

参考:厚生労働省「アルツハイマー病の新しい治療薬について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089508_00004.html