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2024.07.10
一般教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度とは、労働者などが厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講・修了した場合に、支払った費用の一部が給付される仕組みです。働く人たちの能力開発、中長期的なキャリア形成を支援する目的で提供される雇用保険制度の一事業です。
この記事では教育訓練給付制度のなかでも、一般教育訓練給付にスポットを当て、制度の内容を解説するとともに、申請に必要な書類などを紹介します。
教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度とは、労働者などが資格取得のために厚生労働大臣の指定する講座を受講した場合、その費用の一部が支給される制度です。自身のキャリアアップに役立つ資格や、スキルを身につけるために利用することができます。
対象となる教育訓練は約16,000講座があり、なかには介護職員初任者研修などの講座や介護福祉士国家資格を目指す専門学校、専門分野の修士を取得する大学院もあります。
教育訓練給付の種類
教育訓練給付は3種類あり、そのレベル・内容に応じて給付される金額・率が異なります。下表のとおりです。
種類 | 給付率 | 対象講座の例 |
一般教育訓練給付 | 受講費用の20%(上限10万円) | ・資格の取得を目標とする講座
介護福祉士実務者研修、介護職員初任者研修、税理士、社会保険労務士など ・大学院などの課程 修士、博士の学位を取得する課程 |
特定一般教育訓練給付 | 受講費用の40%(上限20万円) | ・業務独占資格などの取得を目標とする講座
介護支援専門員実務研修、介護職員初任者研修など ・デジタル関係の講座 情報通信資格の取得を目標とする講座 |
専門実践教育訓練給付 | 最大で受講費用の70%
(年間上限56万円) |
・業務独占資格などの取得を目標とする講座
介護福祉士、社会福祉士、保育士など ・専門学校の課程 職業実践専門課程、キャリア形成促進プログラムなど |
参考:「キャリアアップ・キャリアチェンジを目指す労働者の皆さまへ 教育訓練給付制度のご案内」厚生労働省
本記事では上表のうち「一般教育訓練給付」にスポットを当てて、その詳細を解説します。
対象となる方
教育訓練給付を受けるには、雇用保険の加入期間などの条件があります。パートタイム労働者や、アルバイト・派遣労働者の方も条件に合致すれば給付対象となります。
雇用保険の一般被保険者等(在職者)
受講を開始した日に、支給要件期間(同一事業主に被保険者として雇用された期間)が3年以上ある方(初めて受給する場合は、支給要件期間が1年以上)。
雇用保険の一般被保険者等であった方(離職者)
一般被保険者等の資格を失った日(離職した日の翌日)以降、受講の開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間が3年以上ある方(初めて受給する場合は、支給要件期間が1年以上)。
詳しくは次のフローチャートをご覧ください。
出典:「キャリアアップ・キャリアチェンジを目指す労働者の皆さまへ 教育訓練給付制度のご案内」厚生労働省から引用
自身が支給対象となるかどうかは、最寄りの公共職業安定所(以下、ハローワーク)にて支給要件の照会手続きを行って確認してください。
対象となる講座
対象となるのは、厚生労働大臣の指定する教育訓練の講座(以下、指定講座)です。指定講座は、最寄りのハローワークで閲覧することができますが、「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」から検索することも可能です。
介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修など、介護・福祉分野の資格を取得する講座も対象となっているため、この制度を有効に活用してキャリアアップや転職に繋げると良いでしょう。
支給額
支給される額は、教育訓練経費の20%(上限は10万円)です。ただし、その20%に相当する額が4,000円未満の場合は支給されません。
教育訓練経費とは、指定講座を開講する実施者に対して支払った入学金・受講料の合計を指します。ただし、受講にあたって必ずしも必要とされない補助教材は対象となりません。
なお、受講開始する前の1年以内にキャリアコンサルタントからコンサルティングを受けた場合は、その費用も教育訓練経費とすることが可能です。
申請手続き
申請手続きは最寄りのハローワークで行い、次の書類が必要となります。
No | 書類 | 備考 |
1 | 教育訓練給付金支給申請書 | 修了した後に実施者から交付される |
2 | 教育訓練修了証明書 | 〃 |
3 | 領収書 | 申請者が納付した教育訓練経費で、実施者が発行したもの |
4 | キャリアコンサルティングに係る書類
※キャリアコンサルティングを利用した方のみ |
キャリアコンサルティング費用の領収書、キャリアコンサルティングの記録や、キャリアコンサルティングの実施を証明する書類 |
5 | 本人・住所確認書類 | コピー不可 |
6 | 個人番号(マイナンバー)確認書類 | 身元(実在)確認書類でも可 |
7 | 雇用保険被保険者証 | 雇用保険受給資格者証でも可 |
8 | 教育訓練給付適用対象期間延長通知書 | 適用対象期間の延長をしていた場合のみ |
9 | 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード | 郵送の場合は、金融機関名、支店名、口座番号、申請者氏名がわかる面のコピー |
10 | 教育訓練経費等確認書 | |
11 | その他 | 還付金を受けた、またはクレジットカードで支払った場合には、その事実を証明する書類 |
※申請に必要な書類の詳細は、最寄りのハローワークに問い合わせてください。
まとめ
この記事では、一般教育訓練給付制度について解説しました。
教育訓練給付は、資格取得を目指す講座の費用の一部が支給されるお得な制度です。ぜひこの制度を利用して自身のキャリアアップに役立ててください。