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2024.07.16

令和6年度介護報酬改定によって介護職員の給与が6,000円アップするのか解説!

介護職員を取り巻く処遇改善に関する話題は、報酬改定の度に議論されています。

今回の記事では、今回の賃上げ政策による月額6千円アップの話題や、処遇改善一本化による変化や、介護職員の賃金が今後も改善されるのかについて解説します。

 

 

賃上げ政策により2024年2月から月額6000円もらえるのかについて

政府の方針により2024年2月から介護職員を対象に賃上げの為の補助金制度が始まりました。しかしこれは、必ずしも介護職員全員が一律に給与アップするものではありません。

なぜなら、補助金としてもらえるお金は表の式で計算されるからです。

※画像引用:厚生労働省「介護職員処遇改善支援補助金」のリーフレット

この表にある通り、補助金の額は人員配置基準で計算されます。基準よりも職員数が上回ると、1人あたりにもらえる金額は少なくなります。また、事業所判断で他職種へ分配できるようになっているため、金額が少なくなくなる可能性が高いです。こうした理由により、全ての事業所で必ず介護職員の給与が一律同額アップするとは言えません。ただし、補助金のほとんどを月給に活用することが補助金受給の要件として定められているため、必ず恩恵は受けられます。

 

介護職員処遇改善加算の一本化がもたらす変化について

介護職員処遇改善加算は、2012年から始まった対策であり、介護報酬に加算して上乗せされるものです。高い加算をもらっている事業所の職員の方が、高い給与を見込めます。

処遇改善加算は3種類創設されており、2024年の改定によりそれらを一本化しています。それによって次のような変化が起こっています。

 

・対象職員と配分の決まりが変わる

加算対象は、主として直接介護業務を行っている介護職員です。また兼務している職員も対象となります。加算で得られる金額の配分は、他職種へ柔軟に支給可能です。また事業所が分配金の比率や方法を決められるため、詳しい内容は所属の事業所へ確認が必要となっています。

・賃金改善の方向性

2024年の改定により処遇改善関連のプラス分は0.98%となっています。また国は介護職員の賃金改善のために、令和6年度2.5%、令和7年度2.0%のベースアップを目指しています。ただし、処遇改善の予算は措置として2年分しか確保されていないため、3年目以降の状況には注意しなければなりません。

・今回から介護職員以外にも給与アップの可能性がある

報酬で得たお金の分配は、職種を限定していません。また柔軟な配分が可能となっているため、これまで分配金を得ていなかった他職種の給与がアップする可能性があります。また、他職種への分配金が増えるほど、介護職員への分配金は減ってしまうので注意が必要です。

 

これまでの介護職員の賃上げの流れと今後の流れについて

介護職員の給与は低すぎるとよく耳にしますが、実際のデータはどうでしょう。

国税庁の「民間給与実態統計調査結果の概要」によると、全産業における正社員の平均給与は約520万円です。それに対して、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況調査結果」によると、常勤の介護職員の平均は約380万円となっています。この現状から、介護職員の給与は全産業平均にまだまだ大きく届いていないことが分かります。

それでも、時間をかけてどんどん処遇が改善される流れになっています。そして、これまでの介護職員の賃上げの流れは次の通りです。賃上げの実績としては、まず2009年から19年にかけて介護報酬の改定や処遇改善加算や特定処遇改善加算の創設により、平均月額7万5千円アップさせました。また2021年に福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算が創設され収入の3%程度の引き上げ措置が決定し、2017年と比べて平均給与が3万円程高くなりました。さらに2022年にも収入の1〜3%程度の引き上げ措置が行われました。

年々処遇が改善していること、全産業平均にまだ届いていないことから、賃上げの流れはこれからも続くと言えるのではないでしょうか。また2024年の介護保険以外の改定率は、診療報酬+0.46%、障害福祉サービス+1.12%となっています。そうした分野でも多くの介護職員が働いており、需要も大きいです。人材獲得のため、そこで働く介護職員の処遇改善を図る動きも大きくなるでしょう。

 

まとめ

今回の報酬改定によって、介護職員の月給は高くなります。しかし事業所毎に人員配置やお金の分配方法が違うため、必ずしも全員が月額6千円アップするわけではありません。また介護職員以外へも柔軟に配分できるようルールが変わっています。それでも、賃金のベースアップが令和7年度まで行われることが決まっています。その他、介護職員の平均給与は、15年前から比べると月に10万円近く高くなっています。そのうえで今回の改定で賃上げが図られたことから、今後もしばらく賃上げの流れが続くのではないでしょうか。

 

参考サイト

https://caretasukeru.com/other/6866/

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231128/k10014271341000.html

https://job.kiracare.jp/note/article/13165/

https://job.kiracare.jp/note/article/44720/

https://job.kiracare.jp/note/article/13511/

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001197898.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202201_42226.html

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001197900.pdf