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2023.07.30

2025年問題とは?これからの介護職に求められるもの

2025年問題とは、第二次世界大戦終了後の第一次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれた「団塊の世代」と呼ばれる人たちが後期高齢者(75歳以上)に達することにより起こるさまざまな問題のことです。約3年後には、この「2025年問題」が現実のものとなって、雇用や医療・福祉など、さまざまな形で私たちの身に降りかかってくると言われています。では、具体的にどのような影響を及ぼし、どのような対策をすべきなのでしょうか。ここでは、2025年問題により介護職を取り巻く変化と、これからの介護職に求められることについて解説します。

介護職における2025年問題は認知症患者の急増

高齢者の比率が高まるにしたがって、認知症の方の数も増加すると言われています。「2025年には65歳以上の5人に1人は認知症患者」と予測する統計もあるのです。厚生労働省が発表している「今後の高齢化の進展~2025年の超高齢化社会像~」によると、認知症高齢者数は、平成14(2002)年現在約150万人ですが、2025年には約320万人になると推計されています。
平成14(2002)年9月現在の状況を見ると、要介護者の1/2は認知症の影響が認められており、今後、認知症高齢者は急速に増加すると見込まれます。
認知症高齢者の地域での生活を支えるため、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるよう地域全体で支える仕組みが重要です。

看護師や介護士の不足も大きな問題

2025年問題の「労働人口の減少」や「高齢者医療・介護の必要性増加」が影響することで、看護師や介護士の大幅な不足が起こると言われています。厚生労働省が公表している調査・推計資料によると、2025年には看護師不足は約27万人、介護職員は約38万人不足すると見込まれています。現在すでに慢性的な人材不足に悩む医療・介護現場ですが、さらに人手不足が深刻化するということです。
要介護高齢者が増加するにもかかわらず、医療・介護人材が不足することで、医療機関や介護施設・介護事業所で必要な時にサービスが受けられないというケースも出てくるでしょう。これが、いわゆる「医療・介護難民」「医療・介護崩壊」です。
2019年時点でも、特別養護老人ホームでは29.2万人の入所申込者(要介護3~5)が待機者となっています。

地域全体で高齢者を支えることがより重要

厚生労働省が発表している「今後の介護保険を取り巻く状況」では、「世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯」は2010年には約1,038万世帯でしたが、2020年には約1,319万世帯に増加しており、2025年には約1,346万世帯に増加すると予測されています。
また、世帯全体に占める「世帯主65歳以上の単独及び夫婦のみの世帯」の割合は、2010年の20%から2020年に24.9%になり、2025年で25.7%に達すると見込まれています。ちなみに、2025年での65歳以上の人口の割合は30%と予測されています。
団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、刻印の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。そのため、厚生労働省において、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。

今回のまとめ

超高齢化社会による「2025年問題」 は私たちの社会にさまざまな影響を及ぼします。要介護の高齢者を支えるため、介護従事者を充実させることは急務です。介護業界では、重労働や低賃金、労働環境の問題などから離職者も多く、大都市を中心に人手不足が続いてきました。そのため、国は介護に関する入門的研修の実施で介護事業への参入を促進したり、資質の向上と労働環境・待遇の改善を目指すべく、認証評価制度を導入したりと、支援策を打ち出しています。
増え続ける高齢者を地域全体で支えるため、国が高齢者の総合的な支援として取り組んでいるのが、地域包括ケアシステムです。地域包括ケアシステムは、国が画一的なモデルを提示するのではなく、地方や自治体がそれぞれの地域の特性に合わせて作り上げることが重視されています。
大勢の高齢者を支えるために、より少ない人数で臨むことは困難な道のりかもしれませんが、国、自治体、医療・介護業界と地域住民が一体となって取り組むことで解決への道は拓けるのではないでしょうか。