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2023.08.10

なぜ高齢者は食事がしにくくなる適切な食事介助の方法と注意点

美味しいものを食べ、毎日の食事が楽しめると生きる気力が湧いてきます。介護が必要な高齢者に食事の時間を楽しんでもらうためにも、適切な食事介助のスキルを身に付けたいところです。
ここでは、高齢者が食事をしにくくなる理由を根本から振り返り、美味しく食べてもらえる食事介助の注意点や心構えなどを紹介します。

介護職に就く人は高齢者の体調を正しく認識することが重要

食事介助の方法が間違っていると、食べることが高齢者に苦痛を与えることになりかねません。介護職に就く人は、高齢者の身体を正しく認識することが大切です。
高齢者がスムーズに食事を取ることが難しくなる理由として、食事をする際に必要な身体の感覚や力が弱くなることが挙げられます。
食欲がなくなり、食事を食べよう、食事を作ろうという意欲が低下します、味の違いが分からなくなるのは、味覚や嗅覚の衰えが原因です。
唾液の分泌量が減少することで、水気が少ない、パサパサした食べ物を飲み込みづらくなり、歯の数が減少し、入れ歯になることで、硬い食べ物を咀嚼(そしゃく)する力(咀嚼力)も弱くなります。
消化機能も低下し、胃もたれや便秘・下痢などの症状が増えるだけでなく、空腹を感じられない、目の前のものを食べ物だと認識できないということも起こってきます。

加齢による筋力の低下が誤燕を招く

食べ物を飲み込む力(嚥下力:えんげりょく)の低下は、のどや食道の筋力が低下することで弱くなります。何も対応しないでいると、嚥下力がさらに低下して、栄養失調や誤嚥(ごえん)などのリスクを招くことに繋がります。
誤嚥とは食べ物が誤って気管に入ることです。通常はむせかえり異物を吐き出そうとするのですが、高齢になると、異物を吐き出す反射力が弱くなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。誤嚥性肺炎は、誤嚥により気管から肺に入った異物が炎症を起こす症状であり、高齢者の死亡原因の上位です。
食事介助を行う介護職は、誤嚥や窒息などの事故が起きないよう、細心の注意を払いながら食事介助を行うことが大切です。

介護職の食事介助は適切なマニュアル化が必須

多くの介護施設では、食事介助のマニュアル化がなされていますが、新しくできた介護施設ではマニュアル化ができていないケースもあります。食事介助の質を向上するためにもマニュアル化は必須だと言えるでしょう。食事介助を行う際の注意点を解説します。
まずは、食べるときの姿勢を確認してください。正しい姿勢を保つことで、誤嚥のリスクを未然に回避できます。自力で座る姿勢を取れる方は、椅子に深く腰かけ、足が床にしっかりと付いていることを確認するのです。車椅子の方は、足置きから足を下ろし、足の裏が床に付くようにします。ベッドで食べるときは、高齢者の身体の状況を見ながら、リクライニングの角度を45~80度くらいに保ちます。
食べる直前には、うがいをして口の中を清潔にしておくと、味が感じやすくなり、唾液の分泌が促され、食べ物を飲み込みやすくなります。唾液の分泌を良くする、嚥下体操や口腔体操を行うのも効果的です。

今回のまとめ

食事中は、必ず横に座り、同じ目線で食事介助を行うと誤嚥を防止することに繋がります。高齢者のペースに合わせるに心がけて、食事を急かさないようにするのもポイントです。適切な食事介助を行うことで、高齢者にとって食事の時間が楽しい一時になるでしょう。どうすれば美味しく食べてもらえるかを考えながら、適切な食事介助を行うことが大切です。