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2023.08.10

介護におけるアウトカム評価とは?スタンダードになりつつある仕組み

介護事業所は、主に介護報酬から収入を得ています。この介護報酬の制度は介護事業所のサービス内容によって評価される仕組みになっているのですが、その多くは過程などを重視した評価でした。しかし、政府の方針から、結果を重視する「アウトカム評価」を主流にしようとする流れが来つつあるのです。
ここでは、今後介護報酬のスタンダードになっていくと考えられるアウトカム評価について解説します。

介護職のアウトカム評価とはケアの成果で介護事業所を評価していく仕組み

「アウトカム」を和訳すると、「結果」という意味になります。つまりアウトカム評価とは過程ではなく結果で評価を行うものであり、介護においては「ケアを行った結果、利用者はどのような状態になったのか」が重要視される仕組みです。
介護職では利用者の状態の改善があってもケアによるものかの判断が難しく、結果を出そうと改善が見込める利用者を選んでしまう恐れもあることからアウトカム評価は取り入れられてきませんでした。しかし、利用者の状態改善は介護事業で目指すべきものであることに違いありません。また、結果が重視されればサービスの質を向上させようと介護職員全体のモチベーションアップも期待できます。そのため、介護報酬の改定でアウトカム評価を用いたものが取り入れられるようになってきているのです。

アウトカム評価の指標はバーセル・インデックス

アウトカム評価の指標には、主に「バーセル・インデックス」と呼ばれるものが使われています。バーセル・インデックスとはADL(日常生活動作)を評価する指標で、着替えや入浴などの10項目を0点、5点、10点で評価。100点中何点だったのかで利用者が必要最低限の生活動作をどれくらいできるのか判断します。
基本的にはリハビリで使用される指標ですが、介護でも同様のものを使うことでアウトカム評価を行おうとしています。しかし、バーセル・インデックスでは認知症に対する評価が含まれておらず、また5点刻みという評価方法から人によって精度が異なるという懸念点もあるのです。

介護職での採用はADL維持等加算と在宅復帰・在宅療養支援機能加算

介護職でアウトカム評価が用いられているのは、「ADL維持等加算」と「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」です。ADL維持等加算は通所介護で、在宅復帰・在宅療養支援機能加算は介護老人保健施設の介護報酬で採用されています。ADL維持等加算は、日常生活動作ができるかどうかの判断になることからバーセル・インデックスで評価。在宅復帰・在宅療養支援機能加算は在宅復帰ができたかどうかを見るため、在宅復帰率やベッド回転率などの項目の値を足したもので評価します。

今回のまとめ

介護事業所の介護報酬は、これまでは結果よりも過程重視で評価が行われていました。しかしケアの結果も大切になることから、結果を重視するアウトカム評価が採用されつつあります。アウトカム評価を行えば結果を意識して業務に取り組むためサービスの質の向上が期待でき、介護事業所と利用者の双方にとってメリットがあると言えるでしょう。