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2023.08.10
介護職の介護処遇改善手当とは?介護職で働く全ての人に支給される?
毎年5万人規模で人材が不足しているといわれる介護業界。人手不足の原因の一つとして、仕事に対して賃金が見合っておらず離職率が高いことが挙げられます。そこで、介護職の賃金改善を目的として創設されたのが介護処遇改善手当です。
ここでは、介護職員の賃金アップを推進する介護処遇改善手当について解説します。
介護処遇改善手当は介護職員の賃金改善と雇用安定化を目的とする制度
介護処遇改善手当とは、介護のサービス料を上乗せして得られた利益を介護職員に分配する仕組みです。高齢化が進み介護が必要な方が増えている一方、介護職員の賃金が低く、離職率の高さや新規採用の難しさがあるため、介護職員の賃金の改善を促し、人材の確保と定着を図るために創設されました。
支給の対象は介護保険施設で働く介護職員、訪問介護員、介護予防専門員などであり、介護処遇改善手当で得られた利益は必ずこれらの職員に還元しなければなりません。また、介護業務に従事する非常勤の介護職員についても支給される場合があります。
処遇改善加算と支給方法について
処遇改善加算の要件は、職場環境等要件とキャリアパス要件が定められており、要件をどれだけ満たせるかで加算率が変わります。
職場環境等要件は、「賃金改善を除く、職場環境等の改善」と定められており、具体的には職員への研修の実施や、人材育成方針の提示などが挙げられます。
キャリアパス要件は、以下の3つです。
・職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
・資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
・経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
いずれも介護職員がキャリアパスを描けるように整備し、人材の定着化を図るよう事業所に求める要件です。
処遇改善加算の対象となるためには、職場環境等改善要件を満たすことが必須です。それに加えてキャリアパス要件を満たした数で加算率が上がっていきます。
さらに、2019年から開始された介護職員等特定処遇改善加算制度の要件も満たせば、さらに追加で処遇改善手当が得られます。
介護処遇改善手当をもらえない職員もいる
介護処遇改善手当は事業所が処遇改善加算を取得していれば、そこで働く介護職員は原則としてもらえます。しかし、介護職ではない栄養士や理学療法士、直接介護を行わない管理者ケアマネジャーなどは手当が受け取れません。
また、介護処遇改善手当の支給方法や分配方法は事業所の管理者に任せられています。そのため、事業所が選んだ配分対象になっていない職員も手当がもらえません。
手当を毎月の給与に反映させている場合もあれば、ボーナスとして支払っている場合もあるため、事業所がどのように手当を分配しているか必ず確認してください。
今回のまとめ
介護処遇改善手当をはじめとする政策により、これまで低賃金とされていた介護業界の働き方も徐々に改善されています。転職を考えている方は、ますます需要が高まる介護業界で、収入アップを目指してスキルを高めていくことを検討してみてはいかがでしょうか。