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2023.08.10
介護職における喀痰吸引等研修とは
基本的に介護職は医療ケアを行うことができません。しかし、喀痰吸引等研修を修了すれば喀痰吸引を行うことが可能です。研修は第1号・第2号・第3号に分かれており、それぞれカリキュラムや研修後に行える内容などが異なります。
ここでは、喀痰吸引等研修の概要とそれぞれの研修内容について解説します。
喀痰吸引等研修とは痰の吸引の研修のこと
喀痰吸引等研修とは、「痰の吸引」や「経管栄養」を行うための研修です。「痰の吸引」「経管栄養」は、カテーテルやチューブを口や鼻の中に挿入して痰・唾液の排出や、胃などに栄養剤を注入します。これらの行為は医療行為になるため、以前までは介護職員は実施できませんでした。
しかし、2012年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が一部改正されたことにより、喀痰吸引等研修を修了した介護職員に関しては、医師や看護師の監督のもとであれば、「痰の吸引」「経管栄養」などの医療行為を実施できるようになりました。
喀痰吸引等研修は第1号・第2号・第3号に分かれている
研修内容によって下記の3種類に分けられています。これらの研修を修了した後に、各都道府県から「認定特定行為業務従事者認定証」を交付されれば研修機関での喀痰吸引が可能です。
第1号研修
「口腔内・鼻腔内の喀痰吸引」「胃ろう・腸ろうによる経管栄養」「気管カニューレ内部の喀痰吸引」「経鼻経管栄養」が研修を修了すれば行えます。なお、研修を修了するためには、基本研修で合計50時間の講義を受けた後に筆記試験に合格しなければなりません。
また、シミュレーターを使った演習を受講して合格しなければ実地研修に移ることができないので注意してください。
第2号研修
「 口腔内・鼻腔内の喀痰吸引」「 胃ろう・腸ろうによる経管栄養」が研修修了後に行えます。研修内容は、「 気管カニューレ内部の喀痰吸引」「経鼻経管栄養」の項目がないため、第2号研修を修了しても行うことはできません。
第3号研修
第3号研修は、医療的ケアを必要としている特定の利用者さんに行うことが前提としています。
また、必要な科目・行為だけを重点的に学習するなどカリキュラムも異なり、講義と演習を合わせても9時間と短い期間で取得することが可能です。実地研修も喀痰吸引が必要な利用者さんに対して必要な行為のみを行います。
ただ、第1号研修・第2号研修は実地研修の回数が決まっていますが、第3号研修は、医師・看護師などからの許可が必要です。
介護職の幅が広がりスキルアップや給与のアップも期待できる
喀痰吸引ができるようになれば必要とされる利用者さんを施設だけでなく、訪問介護の場においても担当できるようになるため、介護職の幅が大きく広がるためスキルアップにも繋がります。
また、給与も基本月給に特別資格手当として5,000~10,000円程度アップすることが多い傾向で、非常勤においても時給アップに繋がります。
今回のまとめ
介護サービスの利用者はほとんどが高齢者です。今後、国内は今まで以上に高齢化が進むため、日常生活を過ごすにあたって介助が必要な方も増えてくるでしょう。喀痰を自分で出せない方の割合も増えていくため、重要性は今まで以上に高まります。逆に、喀痰吸引のできる職員がいない施設・事業者では今後の介護業界に適応できない可能性すらあるのです。介護職員だけでなく、積極的に喀痰吸引等研修をスタッフに受講させることが重要だと言えるでしょう。