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2023.08.16

科学的介護情報システム「LIFE」とは?介護業務はどう変わる?

老人ホームや介護施設など、介護保険に基づいてサービスを提供している施設では、科学的介護情報システム「LIFE」の導入が広がっています。しかし、システムというと「サービス計画書などの各種様式の情報をパソコンに登録するのが大変」とのイメージを持つ方もいるかもしれません。ここでは、LIFE導入の経過と目的、業務改善や経営面への影響についてご紹介します。

参考:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html

LIFEとはデータとフィードバックでより良い介護が実現できるシステム

老人ホームや介護施設などで行われる介護は、利用者に対して日常生活のお世話を提供するだけでなく、利用者の状況に応じて自立を促し、生活の質を高めることを目指しています。
厚生労働省は、より良い介護を提供するためのシステム作りに向けて、2017年から2019年に「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を実施しました。その後、モデル事業として多数の介護保険事業所に情報を登録してもらい、システムを試行運用する中で構築されたフィードバック機能をもつ科学的介護情報システムが「LIFE」です。
2021年にはLIFEが本格稼働され、利用者の健康状態や日常生活のパターン、介護スタッフの対応記録などのビッグデータを独自のアルゴリズムによって解析し、介護現場へのフィードバックが行われています。すでに、多くの介護現場では、LIFEが提供する情報や指示が、より効果的な介護の実現と利用者の生活の質を高めるために活用されています。

利用者に合わせたケアだけでなく業務改善にもつながる

LIFEは、ビッグデータによるエビデンスと利用者の個別性に基づいた介護の方法を示してくれるだけでなく、介護現場の業務改善にも役立ちます。LIFEに登録した施設で行われている介護の情報と、全国から収集したデータとを比較分析して、適切な改善策を示せるからです。業務改善のために取り組むポイントを見いだせるので、スタッフ間での共有も容易になり、取り組みを推進する効果が期待できます。
また、LIFEは施設利用者の生活パターンとスタッフの業務を分析し、業務が集中する時間帯に合わせたシフト調整や業務の再配分を提案することも可能です。シフト調整の時間を削減できる可能性があります。さらに、LIFEでインシデントやアクシデント、業務上のミスの傾向などを分析すれば、スキルアップ研修や手法の見直しにも役立つでしょう。

LIFEを利用すると介護保険報酬が加算される

LIFEを利用すると、介護保険報酬に加算が付くため、老人ホームや介護施設の経営面でもプラスになります。加算の要件は、全利用者の定められたデータをLIFEに提出し、LIFEのフィードバック機能を活用して介護計画書などを改善していくことです。
サービス計画書などの各種様式の情報は、介護サービスを提供した翌月の10日までにLIFEのシステムに直接入力することになるため、プリントアウトしたり書類を管理したりする手間も削減できます。
介護報酬の請求時には、「科学的介護推進体制加算」として月40~60単位が加算され、LIFEを活用することが要件となる他の加算も受けられるため、経営面で苦労している場合、老人ホームや介護施設にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。

今回のまとめ

科学的介護情報システム「LIFE」は、データとフィードバックを通じてより良い介護を実現するためのシステムです。ビッグデータに基づくエビデンスと利用者の個別性に合わせた介護の方法を示できるため、介護の質を向上させるだけでなく、介護業務全体の改善にも役立ちます。また、LIFEの活用が要件となる介護報酬加算も複数存在することから、施設経営の安定化にも繋がるでしょう。