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2023.08.16

介護業界におけるICTの導入で介護職の現場はどう変化する?

介護業界でもICT(情報通信技術)の活用が進んでいます。ICTを導入する際には、「難しい」「時間がかかる」という抵抗感を感じる方もいるかもしれません。しかし、実際にICTを導入した介護施設からは、そのメリットが報告されています。
ここでは、介護職の負担軽減や情報共有・連携の円滑化、介護サービスの質の向上など、ICT導入による介護職の現場の変化についてご紹介します。

介護職が行う入力作業が減る

介護の現場では、利用者への適切な介助のために生活や身体の状況を記録する必要があります。例えば、引継ぎノートや日々の健康チェックの記録、介護報酬の算定に必要な書類などもその一環です。このような記録や入力、書類作成業務は介護職にとって多くの手間がかかります。これらの作業負担を軽減する手段として注目されているのがICTの活用です。
ICTの導入により、デジタル端末(タブレットなど)を活用して現場で直接入力が可能になります。今まで手書きで取ったメモを後で入力していた場合は、業務の空き時間や終了後に入力作業に費やす時間を減らせるでしょう。その結果、煩わしい入力作業に取られていた時間を、利用者への支援業務に充てられるようになります。
また、タブレットなどの情報入力システムの活用で、入力のミスや情報の漏れを減らせるのも大きなメリットです。必要な選択肢や入力必須項目などが表示されるため、端末での打ち込みが苦手なスタッフでも短時間で正確な情報を記録できるようになります。

情報の連携がスムーズになる

ICT導入のメリットには、情報の共有や連携がスムーズになる点も挙げられます。ICTの活用により、情報の共有や連絡がデジタル化され、効率的に管理できるようになるからです。
従来は、介護業界における情報共有や連絡は主に口頭や紙ベースで行われ、電話を通じた家族や関係機関との連絡も記録が残りにくいものでした。ICTを導入すると、現場で直接入力された利用者の情報が介護スタッフや管理者間でリアルタイムに共有できるため、家族や関係機関からの問い合わせにも最新の情報で正確に対応できるようになります。
実際に情報共有システムを導入している介護施設内も少なくありません。このシステムを活用することで、介護プランの共有やケアの進捗状況の報告などがリアルタイムに行われ、介護職同士や他の関係者とのコミュニケーションが円滑化します。また、情報の漏れや遅延が少なくなるため、効率的なケアが提供できるのです。
さらに、オンラインプラットフォームを活用したICTでは、医療機関や介護施設、在宅ケアサービスなどの関係者が共通のデータベースにアクセスでき、データやケアプランを外部関係者と共有できます。これにより、異なるサービス提供者間での情報連携が容易になり、利用者のケアにおける連携や継続性の向上が期待できるのです。

蓄積データ活用によってサービスの質が向上

ICTの導入は、記録や情報共有に役立つだけでなく、利用者ひとりひとりに合わせたサービスの提供が実現し、利用者満足度の向上に繋がります。
例えば、蓄積したデータから、利用者の体調変化やインシデント・アクシデントの発生リスクを予測でき、予防や早期介入に活用することも可能です。また、利用者の健康状態や服薬履歴、行動パターンなどのデータを分析すれば、個別のニーズに合わせた最適なケアプランを立案しやすくなります。
さらに、多くの介護施設のデータが蓄積されると、施設同士の比較や分析が可能となり、効率化の改善点や施設間のベストプラクティスが見つかるかもしれません。このような点から、データに基づく情報の共有と分析による介護業界全体のサービス向上も期待されています。

今回のまとめ

介護業界におけるICTの導入で記録作業の縮小や情報の即時共有が可能となり、業務効率向上や情報共有の迅速化につながります。また、多くの介護施設がICTを活用するほど介護業界全体にデータが蓄積され、より詳細な比較や分析、サービス向上に役立てられるのです。最適な介護の提供と介護施設の運営において、ICTは欠かせないシステムだと言えるでしょう。