お知らせ・コラム Column
Column
2023.08.16
介護職が受講すべき身体拘束排除に関する法定研修の内容と進め方
介護職の方が受ける法定研修の中でも課題になっているのが、身体拘束の排除についてです。利用者の人権を守るためにも、介護に携わる方はしっかりと法定研修でしかるべき対策を学んでおきましょう。ここでは、身体拘束の排除について解説し、具体的な研修内容や対策方法をご紹介します。介護業界で活躍されている方は、ぜひ参考にしてください。
1.法定研修で介護職に指導される身体拘束をしなくても良い方法
2.法定研修でおこなわれる身体拘束に関する参加者の話し合い
3.法定研修で検討すべき身体拘束を必要としない環境作り
4.今回のまとめ
法定研修で介護職に指導される身体拘束をしなくても良い方法
指定通所介護事業所で行われている法定研修とは、運営基準による従業員が受けなければならない研修のことです。法定研修にはいくつか種類がありますが、身体拘束の排除に関する研修も行われています。
身体拘束とは高齢者等の介護を受ける方の安全を考え、身体を帯や衣類などを使用して拘束し、一時的に運動機能を抑制することです。
しかし、身体拘束は利用者に精神的苦痛を与えるほか、場合によっては認知症が進行したり家族にも精神的なダメージが加わったりすることから排除の取り組みが進んでいます。
例えば、ベッドの高さを調整して転落を防ぐ工夫をしたり、転倒してもケガをしないように環境を整えたりするなどの対策が、身体拘束を排除する取り組みです。
高齢者の身体能力が衰えないように、リハビリプログラムを企画するのも1つの方法と言えるでしょう。
法定研修でおこなわれる身体拘束に関する参加者の話し合い
身体拘束に関する法定研修では、「なぜ利用者の身体を拘束すべきではないのか」について話し合うことが大切です。
「やむを得ない場合に限り、身体を拘束する」といったケースもありますが、安易に利用者を身体拘束することがないような取り組みにつながる話し合いが多く行われています。
いかなる理由があっても身体の動きを抑制することは人権に関わる問題です。身体拘束に関する法定研修は、利用者やその家族が納得できる理由で身体を拘束しているのか、今一度考えるきっかけとなるのではないでしょうか。
法定研修ではあらかじめ参加者から介護の実態をアンケートにて調査し、アンケートの結果に基づいて研修を行っている事業所もあります。
法定研修で検討すべき身体拘束を必要としない環境作り
身体拘束を廃止するためにも、高齢者などの利用者が安全に過ごせる環境作りについて法定研修を行うことが大切です。皮膚を掻きむしってしまう利用者の場合は、常に肌が清潔な状態を保ち、不快感を取り除いてあげてください。
また、施設内の障害物を排除し、利用者が徘徊してもケガをしないように対処してください。死角ができないように、介護スタッフがいつも周りを見渡せる環境を整えることも大切です。さらに、利用者の気持ちに寄り添った介護を心掛けることで、身体拘束に至ることがないよう、穏やかな気持ちで過ごせるように配慮すると良いでしょう。
身体拘束に至る理由の1つとして、介護スタッフの人員不足が挙げられます。利用者が歩き回る時間は十分な人員を確保するなどの運営側の工夫も大切です。
今回のまとめ
介護施設では利用者の安全を確保する必要がありますが、身体拘束はかえって症状を悪化させる可能性があります。現代では身体拘束を排除する取り組みが進んでいますので、法定研修を利用して具体的な対策を共有していきましょう。
身体拘束の廃止は利用者と施設の信頼関係を深めるきっかけにもなるかもしれません。介護される側の立場になって課題を克服し、利用者と介護スタッフの両者が気持ち良く過ごせる環境を整えてください。