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2023.08.16

高齢者を手助けする介護現場で必須となる服薬介助の大切さとは

介護施設の利用者の中には、一度に多くの薬を服用しなければならない方が少なくありません。服薬介助とは、利用者が必要なタイミングで必要な薬を確実に飲めるように介助する医療的行為で、介護士の大切な仕事の一つです。
ここでは、スムーズに服薬介助を行うコツや、飲み忘れ・飲み間違いを防ぐポイントなどをご紹介します。

介護士が知っている必要がある医療行為に該当しない服薬介助の範囲

服薬介助とは、処方されている薬について、どの薬をいつ、何回飲むかなどを把握し、服薬を助けることです。自力での服用や管理が難しくなった利用者に対して、介護士は確実に内服できるよう適切な介助を行う必要があります。
服用の方法やタイミングを間違えたり、他人の薬を飲んだりすると、場合によっては命にかかわることがあるため、介護士は細心の注意を払わなくてはなりません。介護士が対応できる服薬介助として、薬の準備や声掛け、飲み残しの薬の確認などがあります。内服薬以外の服薬介助は、目薬の点眼や軟膏の塗布、湿布の貼り付け、坐薬挿入などです。
服薬介助と似た言葉に、「服薬管理」があります。服薬管理は医療行為で、服薬指導や薬の調整、在庫確認などを行います。服薬管理は介護士が行えません。

介護士が経口薬の服薬介助をする時のコツ

介護士が経口薬の服薬介助をするときのコツをまとめました。
まずは、処方された薬を介護士と利用者双方でチェックした後、ベッドの背もたれを30~90度に調節するか、横向き姿勢にします。
次に、薬と白湯を用意しましょう。お茶でもOKですが、麦茶のようなカフェインの少ないタイプを選びます。錠剤やカプセルを飲むときは、1つずつ舌に乗せてください。粉薬や顆粒剤は複数回に分けて少しずつ服用するのがコツです。飲みづらいときは、オブラートに包んだり、服用ゼリーを使ったりして飲みやすくしましょう。液体薬は容器を振って中身を均一にしてから少しずつ服用します。唾液で溶かす必要がある舌下剤は、薬を舌の下に置き、噛んだり飲み込んだりしないように見守ってください。
服用した後は、きちんと飲み込めたことを確認します。入れ歯の内側に薬がくっついているときもあるので、口の中も確認しましょう。利用者が自力で薬を飲める場合は見守り役に徹し、過度に介助しないのがポイントです。最後に服薬記録を行い完了となります。

利用者にとっての服薬介助をしてもらうメリット

利用者にとって服薬介助をしてもらうメリットとして、飲み間違いや飲み忘れ、過剰摂取などのリスクが回避できる点が挙げられます。
認知症の利用者の中には、薬を飲んだことを忘れてしまい「まだ飲んでいない」と主張したり、「必要ない」と服用を拒否したりするケースもあります。症状が進行するほど服用介助の必要性が高まるため、薬の効果について丁寧に説明する、薬を一包にしてもらい飲みやすくする、お薬カレンダーを利用して飲み忘れを防ぐなどの対策を講じましょう。
薬の飲み合わせや体調によって、薬を飲んだ後で状態が悪くなることもあります。介護士は日常的に利用者と接しているため、状態変化に敏感に対応できるのもメリットです。その場合は、主治医や薬剤師に速やかに連絡し、指示を仰ぎましょう。

今回のまとめ

介護施設を利用する高齢者の中には、薬の種類が増えすぎて自分で管理しきれなくなる、飲むタイミングを間違える、過剰摂取などで誤って服薬するケースが少なくありません。介護士の服薬介助は医療的行為であって、薬を準備し、薬を飲み込んだことを確認した後、片づけまで行います。利用者の意思を尊重しつつ、さりげないサポートを心がけましょう。