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2023.09.01
介護職員初任者研修で習うノーマライゼーションとは?今や介護現場の常識
介護職員初任者研修では「リハビリテーション」と同時に、「ノーマライゼーション」という考え方が重要視されています。自分でできることを増やすリハビリテーションに対して、ノーマライゼーションは自分らしさが尊重される環境の整備が重要です。ここでは、介護現場で働く人が知っておきたいノーマライゼーションの基本原理と課題、現在の取り組みについて解説します。
1.ノーマライゼーションとは障がい者でも平等に生活できる社会を目指すこと
2.介護職員初任者研修で学ぶノーマライゼーションの基本原理
3.介護現場におけるノーマライゼーションの課題
4.今回のまとめ
ノーマライゼーションとは障がい者でも平等に生活できる社会を目指すこと
ノーマライゼーションは、障がいの有無や年齢に関係なく、個性が尊重されて生活できる権利を保障する考え方です。障がい者や高齢者が、できるだけ一般的な社会の中で自分の望む暮らしを営み、権利と機会を享受できるようにすることを目標としています。
ノーマライゼーションは、「生活リズムやライフサイクル」と「経済や環境、自己決定」の2つの分野に分けられます。
生活リズムやライフサイクルの分野では、自分で判断できなかったり動けなかったりしても、朝起きて着替え、日中活動を行い、夕食を食べて、夜になったら眠るといったリズムを得られるよう配慮が必要です。リズムには、平日や休日のメリハリや、年中行事などのイベントも含まれます。特に障がい者のノーマライゼーションでは、子ども時代の遊びや、余暇などライフサイクルにおける一般的な経験を積んで行くことも重要です。
経済や環境、自己決定の分野では、障がい者や高齢者ができるだけ自分で決めて生活する、自己決定が尊重されます。障がいの有無や年齢にかかわらず、個性や能力に合わせ、経済的な支援も行われます。
介護職員初任者研修で学ぶノーマライゼーションの基本原理
介護職員初任者研修では、ノーマライゼーションの基本原理と実践方法について学びます。ノーマライゼーションは、高齢者が介護を必要とする状態になっても、自分らしく暮らすことを目指すための尊厳の保持と自立支援の基本的な考え方です。
介護職が提供するサービスにおけるノーマライゼーションは、利用者の個別の特性や能力、意向を理解し、その人らしい生活をサポートすることを目指します。そのため、介護職員初任者研修では、利用者の個別性やニーズを把握するためのコミュニケーションや観察の方法について学びます。また、差別や偏見に気づかせ、人権意識を持って介護を提供するための教育も行われ、重要なカリキュラムの1つです。
介護現場におけるノーマライゼーションの課題
一斉に排泄介助を行ったり、夕食の時間が早かったりする職員体制に合わせた生活様式は、介護現場におけるノーマライゼーションの課題です。脱施設化の試みとして大規模な老人ホームでも10人以下の利用者ごとのまとまりに分けて、リビングやダイニングなどの共有スペースを活用して生活するユニットケアが定着しています。ユニットケアでは、流れ作業のように居室と共有スペースを行き来するのではなく、気分に合わせて好きな空間を選べるのがメリットです。
認知症などで介護者が選択そのものをできない状況にあったり、主体的に選ぶことができても選択肢が限られていたりするのも、介護現場におけるノーマライゼーションの課題です。メニューに合わせた食器の使用や複数のレクリエーションを同時に行って選べる環境を作るなどの工夫が求められます。最近では、その日の気分に合わせてファッションを選んだり、お化粧をしたりといったおしゃれを取り入れる施設もあります。
今回のまとめ
ノーマライゼーションは、障がいの有無や年齢にかかわらず平等に暮らせる社会の実現を目指す考え方で、介護職員初任者研修のカリキュラムにも含まれる介護を行う上で常識ともいえる視点です。ノーマライゼーションの実践により、介護現場でも利用者の尊厳を守り自己決定を尊重する包括的なケアの実現が可能になるでしょう。