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2023.09.08

同行援護従事者と移動支援従事者の違いとは?

障害者の方の外出をサポートする「移動介護事業」には、「同行援護従業者」と「移動支援従事者(ガイドヘルパー)」の2つの資格があります。これらの資格は、障害者の方が外出する際のサポートを行うことが目的とされていますが、対象者や業務内容に違いがある点に注意が必要です。ここでは、同行援護従事者と移動従事者の違いや役割を解説します。

同行援護従事者は視覚に障害がある方の移動を援助する

同行援護従業者は、視覚に障害がある方を対象として外出のサポートをするのが業務です。資格を取得するには「同行援護従業者研修」を受講する必要があり、受講要件は誰でも受講ができる「一般課程」と、一般課程を修了した人が受講できる「応用過程」の2種類があります。
対象者は視覚に障害があり、自力で外出や移動が困難な方で、主な提供できるサービスは書類等の代筆や代読等の視覚的情報の交換や移動のサポートです。また、外出中の排泄や食事の補助、ドアの開け閉めなども同行援護従業者の仕事であり、視覚障害者の方の「目」となって様々なサポートを行います。
同行援護従業者は個人向けの福祉サービスである「個人給付」の対象となるため、基本的には1対1での対応となり、障害の度合いに応じて衣服の着用や排泄の補助などの身体介護が必要かどうかを判断されるのが一般的です。

移動支援従事者は障害者の社会参加や外出を支援する

移動支援従事者は知的障害や精神・身体障害がある方を対象に外出時のサポートをする業務で、移動支援従事者には「全身性障害ガイドヘルパー」と「知的障害ガイドヘルパー」があります。このサービスは、障害区分や障害者手帳は必要なく、市町村に申請をして認められた場合にサービスが利用可能ですが、障害者手帳が必要とされる場合もあるため、確認が必要です。
「全身性障害ガイドヘルパー」は全身性障害を持つ人(脳性まひや筋ジストロフィーなど)へのサポート業務で、身体介助を含めて研修内容が多く、介護福祉士、ホームヘルパー1級・2級、介護職員初任者研修課程修了している人は科目免除される場合もあります。
「知的障害ガイドヘルパー」は知的・精神障害がある方が障害特有の性格や特徴から生じる問題を回避してサポートする業務です。障害の度合いによってできることとできないことが異なるため、知的・精神障害についての基本的知識や心理、移動介助の方法を学びます。介護職員初任者研修を修了している人は、研修を受講しなくても知的障害者の外出介助を行うことが可能です。

同行援護と移動支援はサービスの提供元が違う

同行援護と移動支援の大きな違いはサービス制度体制の違いで、障害者総合支援法において、同行援護は「自立支援給付」に該当し、一方で移動支援は「地域生活移動支援」に該当します。
同行援護従業者は視覚障害者の方に特化した外出時のサポートをする業務で、厚生労働省が提示する一定の基準を満たしていなければ利用できません。
地域生活移動支援は市町村によって独自に行われるサービスであり、提供内容や基準は自治体によって異なり、地域ごとに管轄されているため、利用者の事情に合わせて柔軟な対応が可能です。さらに、移動支援には複数人で外出する「グループ支援」がありますが、同行援護にはグループ支援はなく、マンツーマンでの支援サービスが特徴となっています。また、傷害が重複している場合でも併給はできず、この場合は同行援護が優先されるのが一般的です。

今回のまとめ

同行援護従事者と移動支援従事者はどちらも移動支援を行う資格でありながら、運営元や対象者、サービス内容に違いがありますが、どちらも専門知識が必要な業務です。同行援護従事者の資格は転職に有利になる可能性があり、サービス提供責任者としてキャリアアップできる資格でもあります。これから介護業界で働くなら、ぜひ目指したい資格だと言えるでしょう。