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2023.09.14

介護職に携わる人が認知症の人に言ってはいけない言葉とは?

認知症ケアにおいて、声かけほど誰でも簡単に行えるケアはありません。簡単に行えるからこそ、サービスを提供している介護職は細心の注意を払って声かけを行わなければなりません。声かけを行うことは、その人自身を尊重し肯定する必要があります。このページでは、介護職に携わる人が認知症の人に言ってはいけない言葉、どういう言葉を使えば良いのかについてご紹介します。認知症の人への声かけに悩んでいる人、もしかして不適切な言葉を使っているかも…と思っている人、ぜひこのページを参考にしてください。

介護職員は認知症の人とのコミュニケーションを否定することはNG

介護職員として、認知症の人の言葉や行動を否定することは不適切な対応です。認知症には、記憶障害や見当識障害といった中核症状と、幻覚・妄想・徘徊といった周辺症状がみられます。ご利用者は真剣に行動しています。ただ認知症のせいでうまく伝えられなかったり、周りからみたら異常と思える行動をしてしまったりするのです。ご利用者は真剣に行動しているのに頭ごなしに否定されては、自己肯定感が下がります。また怒る・悲しむなどの負の感情を持ってしまいます。さらには、介護職員がご利用者に「ちょっとまって」「早くして」と言った言葉による拘束(スピーチロック)になることもあります。
介護職員は認知症の人とのコミュニケーションにおいて、否定するだけでなく言葉で行動を止めてしまってはいけません。

肯定する言葉や感謝の言葉は認知症の人に安心を与える

認知症の人に安心してもらうためには、肯定や感謝、共感、同調することが大切です。
話している内容に頷き、「そうなんですね」と否定せず肯定することで、ご利用者の自己肯定感を高めることができます。例えば、家事が得意なご利用者と一緒にお皿洗いをします。洗い残しがあったとしても、「○○さんが洗うとお皿がとってもキレイになりますね」と肯定し感謝を伝えることで、ご利用者は役に立てた、と思ってくれます。洗い残しはその場で指摘せず、ご本人の見えないところでフォローしましょう。
また、物盗られ妄想や家にいるのに「帰ります」と言われた場合でも、その場で否定しません。共感して一緒に探したり、一緒に外に出てなぜ家に帰ろうと思ったのかを聞いてみたりし、同調することが大切です。

家族も協力して認知症の人を否定しない言葉遣いを心掛けることが重要

認知症の人への言葉遣いに関する対応は介護職員だけでは不十分であり、家族の協力が必要です。
ご家族は、今までの生活や性格を知っているからこそ、「なぜできなくなったのか」「今までこんなことなかったのに」と憤りを感じ、ご本人の目の前で悪口をいったり強く当たったりしてしまいがちです。
介護職はあくまで第三者で、家族ほど近い存在ではありません。ですが、ご家族も一緒になって否定しない言葉遣いで接するように介護職がご家族に働きかけることが重要です。ご利用者だけではなく、ご家族への配慮を行うことで、ご家族が身体的にも精神的にも安心して介護できます。ご家族とご利用者の楽しい話をする、ご家族を労う、時にはご家族と一緒に悩むことで、認知症のご利用者を否定しない環境を作りやすくなるでしょう。

今回のまとめ

認知症の人だけでなく、誰でも自分を否定されるのは辛いことです。ただ、認知症の人は中核・周辺症状のせいで、言葉や行動を否定されたり制限されたりしてしまいます。認知症の方の尊厳を守るために、介護職のあなたができることは、相槌を打ち共感することとお辞儀をして感謝を伝えること、つまり身体を横ではなく縦に動かす動作を心がけてみましょう。